どうも、飯名尚人です。演出家、映像作家です。
相原マユコ(演出家、j.a.m.dance theatre)との共同作業が始まりました。そもそも今回なんで始まったかというと、、、キッカケを忘れました。たしか昨年の10月くらいに京都で会ったときに、お互いに演出の話をしたんだったと思います。ああだこうだと。まあ細かいことはいいとして、今回の共同作業は「2人の演出家の共同作業」ということで進めます。僕もここ1年ほどは演出家としての仕事に専念中のため修行の身分。色々な実験をしたいと思ってます。
どういうプロダクションとして進めるか、というと、ここ最近プロデューサー、キュレーターがレジデンス企画やアーティスト育成企画を立ち上げ、それにアーティストが乗っかる、というスタイルが多いような印象を受けてます。企画自体は悪くないですが、問題は、予算と場所が用意されてから作品を作るアーティストのスタンス。挙句の果てには「日本は助成金のシステムが良くない」「支援が悪い」「舞台芸術は食っていけない」というネガティブの極みが満載で話にならず。求められる作品はいつの時代も求められるのであって、求めている人に向かってこちらのエゴを作品としてぶつける、という作業を常にライフワークにしていれば不況などあり得ないのがアーティストの強みなのです。これは僕がプロデューサーとして仕事をしてきた結果学んだ事。「良いものは必ず売れる」という自信というか妄信がすべてのモチベーションになるのです。
そんな背景から、僕はまず相原マユコさんとスタジオに入り、あれやこれやと演出アイディアを試していく作業を始めました。つまり「ネタ出し」。このネタが多ければ多いほど、我々には選択肢が増え、足し算の結果、引き算が出来る。ネタが少ないと時間を埋めるために無駄なシーンが増える。なので、この共同作業はまだ「作品」には向かってません。あえてそうしていく事にしました。多くの舞台芸術家は「60分の作品を12月までに作って、あそこの劇場で発表しよう」と考えますが、我々はもっとパーツの積み上げにこだわってみたい。
ネタ出しの結果は、ちょくちょく「Open Studio」という形で皆さんにお披露目しようと思います。でもこの「Open Studio」は、小作品を見せるためではなくて、パーツを見せるものになります。そしてそのパーツについて、2人の演出家が言葉を使って皆さんに我々のアイディアをプレゼンテーションします。おそらく年内に途中経過をお見せできるでしょう。こうして積み重ねていったパーツが「構成」という段階に入ると、そこに大きな物語が作り出され、それを「作品」と呼びたいと思います。
このプロダクションの流れには、今の段階ではまだプロデューサーも助成金もありません。唯一の協力は京都のスタジオ「初音館」の奥田さん。彼の好意でこの作業が可能になりました。集中して作業できるスタジオは我々の必須アイテムです。
「ダンスにおける演出」については多くの意見があるテーマでしょう。ダンスにおける演出は振付家の仕事だ、という意見もあれば、最近ではダンスにドラマトゥルグを入れる可能性も出て来た。僕の場合はダンスを一切しない(というか、ダンス経験ゼロの)演出家ですから非常にグレーな存在です。僕がダンサーに向かって「ここはもっとこうして」と足を上げたり回ったりすると笑われたりもしますが、まあそれでいいのです。相原マユコさんは振付家としての役割もあるし、自身で踊ることが出来ますから、僕とは違うダンスの演出法を持っています。「ダンスにおける演出」を考えてみるには良いコラボレーターなのです。
僕の作品というのは、ダンスのシーンもあるし、出演者はダンサーがほとんどですが、最終的な形態「パフォーマンス」というものだと思います。もしかするとそういうものを「コンテンポラリーダンス」と称してきたのが、日本のダンス界なんだと思いますが、世界のコンテンポラリーダンスを見渡してみると、パフォーマンスとは何らかの明確な区別があるように感じます。その区分けにおいて、自分は「パフォーマンス」を作っていると思います。ダンスではなく。これについては、カテゴライズの問題なので、まだこれ以上は突っ込まないことにします。
2人演出家が2日間スタジオで酸欠になりながらネタ出しをして、最終的に我々が体というツールを使って表現したいことは「状態を描く」ということでした。そこがこの2人の大きな共通の興味だったようです。不安な状態、心が揺れている状態、怒っている状態、耐えている状態、嬉しい状態、など。それは必ずしも1人の特定の人の状態だけではなく、ピープルの状態でもあります。状態を説明するための演出ではなく「その状態に置かれた人、人々」「どうしてその状態になったのか」「そこからどこへ行くのか」という「状態の行方」を考えていく必要があります。
この作業が、2人演出家によって今後延々と繰り返されていきます。どの段階で、演出家2人がスタジオで殴り合いを始めるかが楽しみです。
というわけで、次回の共同作業は6月です。が、このBlogで書きたい事を書いていく予定。